本文へスキップ

 安心 自信 自由 

              安心

「CAPかながわへの手紙」

 手紙1
横浜市立鴨志田小学校 校長           宮武民子
 「安心」「自信」「自由」の大切な権利

 「自分の権利は誰にもじゃまされない。安心して自由を守り自信を持って生きる・・」CAPの子どもワークショップを受けてすぐに相談した児童がいました。今の事情をCAPの方に話すことにより、自分のおかれている状態から何とかしたいという切なる願いでした。今まで「仕方がない」と思っていたことを、自分で自分を守ることを自覚できたのです。

 また、高学年では、次のようなことを感想に書いていました。
 「安心」「自信」「自由」それが一つでも欠けたら「不安」「こわい」などの気持ちが心にこみ上げくる。その「こわい」「不安」を無くすことを教えてくれたのがCAPの人たちでした。劇や絵で教えてくれわかりやすく楽しく覚えられました。特別な声、自分の手の二本分あけて相手と話をすること等、私がわからなかったこと、初めて知ったことなどいっぱいありました。怪しい人には騙されてれてはいけないこと、私は本当にびっくりしながら、楽しく覚えました。ありがとうございました。これからも「不安」を「安心」にして、がんばってください。

 どの子どもたちもワークショップの良さや必要性を感じて自分の生活にいかすことができています。鴨志田緑小学校では子どもワークショップを始めて4年目になりましたが、私たちの願いは、自分のことは自分で守り、今の生活を楽しんでくれることなのです。朝会でCAPの話をしました。自分の権利について、声を出すことについて、知らない人とは離れて話すこと等真剣に聞いていました。昨年も同じ様に朝会で話したことが子どもたちの心に残っていたことに感動すら覚えました。今年も子どもたちの心に響いてくれていることを願っています。
「CAPかながわ」の地道な活動があちらこちらで大きく実を結んでいます。心よりお礼申し上げます。

          2003年9月1日発行「 CAPかながわつうしん VOL.0」に掲載
BACK







手紙2
横浜市西区サービス課 子ども家庭支援担当
                         助産師 桐山ゆき子

 私が「CAPかながわ」の活動を知ったのは、平成11年の新聞報道でした。その頃、児童虐待の問題がマスコミで話題になり、私どもに寄せられる相談も虐待に関する問題が増えていました。子どもへの虐待やDVなどの相談を聞いていますと、虐待は世代間連鎖の問題が大きいと感じていました。暴力とは何かわからないまま育ってしまう子どもたちにどう対処したらよいのかと考えていたところでした。
 その当時、私は保土ヶ谷保健所に所属していました。さっそく、所内の研修として、CAPのプログラムを学ぶことにしました。
 CAPのプログラムを学ぶと、その内容の深さに感激し、また、CAPを提供している方たちが、自己研修でスペシャリストの養成講座を受け活躍していることについても感心していました。そして、このプログラムをたくさんの人たちに学んでもらうことが、いじめや虐待などの暴力を防止できるのではないかと考えていました。
 西区に転勤し、ある小学校で、「CAPワークショップ」を実施していることを知り、よい結果を得ているとの話を聞く機会がありました。学校の要望は今後も、ワークショップを子どもたちに受けさせていきたいということでした。その後、区内の他の学校でも行われていることを知り、2年前より、着実にCAPの活動が広がっていると感じました。そのことがきっかけで、西区の小学校で、子どもたちに「CAPワークショップ」を学べるようにしたいと思いました。14年度は、おとなワークショップをPTAが主催していた小学校の4年生2クラスとCAPの活動を知ってもらうために地域の方たち(参加者308名)を対象に開催したのです。そして、15年度の区の推進事業「子どもの“生きる”力応援団」として提案、西区内の小学4年生、保護者、教職員、そして地域の方たちにCAPワークショップを開催できるようになりました。学校側からの要望で、西区管轄の9校すべての小学校に提供することができました。職場では、区長をはじめとした職員の方たち向けにも開催し、CAPのプログラムのよさを実感していただくことができました。
 16年度には、1年生にも提供するようになり15年度から17年度の現在までに小学生2320人、教員217人、保護者を含めた地域の方たち773人に提供することができました。今年度は、CAPのプログラムを提供して3年目になります。区の自主事業は3年で見直しになります。予算縮小の折、次年度も続けていくのは大変ですが、継続を目指したいと計画中です。
 最近では、子ども達の安全を守るために防犯ブザーの配布、見守りパトロールなどいろいろな取り組みが行われるようになりました。しかし、なんと言っても、子ども自身の力で自分を守るためにエンパワメントを高めていくことが大切なことだと思います。
 現在の家庭での育児力や教育力の弱さ、地域の人とのつながりの減少を考えると、子どもたちは学校教育のなかでしっかりとその力をつけていくことが大切なのではないでしょうか?それが、今、起きている子どもたちのこころの問題を解決していく早道にもなると思います。だからこそ、行政がサポートしていくことが必要だと考えています。

 人が人として尊重され、生きていくために大切な「安心」「自信」「自由」を誰もがもてる社会に、そして暴力のない安心した社会となるためにCAPの活動をこれからも応援していきたいと考えています。
「CAPかながわ」のみなさん、これからもよろしくお願いします。

          
 
CAPかながわのシンボルマークともいえるこの絵は、桐山さんのお嬢さんが描いてくださったものです。
ほんとうにありがとうございました。






        
2005年10月20日発行「 CAPかながわつうしん VOL.1」に掲載
BACK







手紙3
横浜市立港南台ひの特別支援学校 校長   谷崎 秀昭

 私がCAPのワークショップに興味をもったのは、平成16年度のCAPかながわのワークショップ研修会に参加したり、森田ゆりさんの講演会を聞いたのがきっかけです。

 小学校の校長1年目の私が描いた学校は「子どもたちが安心して元気に通える楽しい学校」卒業するときに、「この学校で勉強できて良かった」そう思える学校にすることでした。小学校でも子ども同士のいじめや家庭での虐待で悩んでいる子がいます。学校生活でSOSを発信してくれる子は、教師も気づき早めの対応ができますが、一人で悩み、相談できぬまま苦しんでいる子が気になります。そんな実態を目の前にして、「何をどう解決していけばいいのか。」そんな藁をも掴む思いの時に出会ったのが、CAPプログラムでした。学校で取り入れるには、まずは自分が理解し納得しなければとCAPかながわが開催する研修会に参加させてもらいました。「安心」「自信」「自由」の大切な権利について、分かりやすく劇化したり、ロールプレイを通して子どもと一緒に考えながら進めるCAPのプログラムには感心しました。小学生、中学生ワークショップなど、何回か研修会に参加し、良さは実感したものの、導入には費用もかかり、躊躇していたところ、CAPかながわから「助成事業などで無料で実践できる」とのお話をいただき、さっそく小学校に来ていただき
CAPワークショップを実施することができました。

 CAPワークショップでは事前の打ち合わせで、クラスの実態や配慮すべき点、登場する人物の名前の子がクラスにいないかなど、細やかな配慮をしながらワークショップを進めていました。
いじめや虐待、性暴力などを取り上げるCAPのプログラムは、個々の課題を抱える子どもたちを傷つけることがないよう、細心の注意を払っていることも知りました。

 実際のワークショップでは、難しいかなと思っていた権利、「安心」「自信」「自由」について、子どもたちなりに捉え、真剣に話を聴いたり、考えたりしている様子をみて、驚きました。そして、ワークショップの後で、気になる子どもたちが残ってスタッフの方に話をしたり、先生方に相談したりする姿も見られました。各学級で新たな関わりが生まれたり、いじめについて話し合うきっかけになったりしました。良い機会を与えてもらったことを感謝するとともに、ぜひ、子どもたちが安心して学校生活や家庭生活が送れるようCAPワークショップの導入に費用面での支援策も広がって欲しいと思っています。

 4月に特別支援学校に異動になり、コミュニケーションをとることが難しい子どもたちに「安心」「自信」「自由」をどう伝えていけばいいか。「安心して元気に通える楽しい学校」にするための具体的な取り組みを模索しています。CAPかながわは、障がいのある子どもたちへのCAPプログラム提供にも取り組んでいますが、特別支援学校だけでなく、小中学校には発達障がいの子どもたちなど、配慮の必要な子どもたちがたくさんいます。CAPプログラムの更なる充実に期待しています。

 CAPかながわ10周年、おめでとうございます。今までの活動に敬意を表するとともに、これからも、すべての子どもたちが安心して生活できるために、益々活躍されることを祈念しています。
         2007年11月1日発行「 CAPかながわつうしん VOL.5」に掲載
BACK







手紙4
横浜市戸塚区サービス課 こども家庭支援担当 
                             岡本 今日子

 戸塚区では、平成17年度から平成19年度までの3年間、区内の幼稚園・保育園でCAP(子どもへの暴力防止)プログラムを実施しました。平成17年度に小学1年生の痛ましい誘拐事件が発生し、CAPプログラムの重要性が認識される中、多くの園で年間プログラムの調整に御協力いただきました。本当に感謝しております。

 CAPプログラムでは、まずおとなワークショップを実施してから、子どもワークショップを実施します。おとなワークショップでは、保護者、園の先生、地域の方を対象に行いました。おとなワークショップの中で、子どもにどのようなワークショップを実施するのか、まず目的と内容を周囲のおとなが知り、子どもを守るために何ができるのか考えるのですが、CAP実施後のアンケートでは、もっとたくさんのことを学んだとの声を多くいただきました。
 例えば、子どもの気持ちを受け止めること、地域とのコミュニケーションを密にすること、自分自身の安心も大切にすることなど、書ききれないほどです。
 CAPプログラムには様々な配慮がされていますが、本当に内容をよく検討し、改善を重ねて作られてきていると感じます。ただ、例えば仕事を持っている保護者の多い保育園などでは、参加者が少ないことも度々ありました。時間等の制約はありますが、内容の良さや大切さをもっと伝えられれば、参加者が増えたかもしれません。それが主催側として、本当に心残りと感じています。

 おとなワークショップ終了後、子どもワークショップを3日間に分けて実施しました。1クラスの人数が多い園では、1人1人にきめ細かく対応するため、2つに分けて実施することもありました。子どもワークショップでは、子どもたちはみんな目を輝かせて活発に自分の意見を発表したり、劇に参加していました。おとなには思いもつかないような面白い意見が出ることもあり、笑いの絶えない3日間でした。驚いたことに、子どもたちは権利について、自分を守ることについて、実に良く覚えていて、決して難しい話ではない、納得がいけばちゃんと理解できるのだと、改めてプログラムの良さと、子どもたちの力を認識しました。

 最後に、3カ年にわたり実施していただいたCAPかながわの皆様には、心からお礼を申し上げます。

 その日の参加者の人数、顔ぶれから内容を工夫していただくなど、配慮が行き届いており、日ごろの研鑽の賜物だと感心しております。戸塚区では、今後も地域振興課で小学生向けプログラムを実施していきますが、CAPプログラムが地域に定着することを心から願っております。
          2008年4月1日発行「 CAPかながわつうしん VOL.6」に掲載
BACK







手紙5
横浜市立舞岡小学校 養護教諭         渡部真弓
 私がCAPかながわの代表 草野さんと出会ってから、もう12年ほど経つでしょうか。その頃はそろそろ「虐待」という言葉が学校でも問題になり始めていたころだと思います。
 ある日保健室にこれはあきらかに親の虐待ではないかと思われる児童が来室しました。話を聞く中で、様々な家庭の問題が浮かび上がってきました。今のように児童相談所がすぐに介入できるシステムはできていませんでした。「虐待は連鎖する。」と言われていますが、自分のそれまでの経験でもそれを目の当たりにしていました。虐待をする親は自分も親から暴力を受けていたり、愛されていなかったりした過去をもっていることが多いようです。しかしとにかく少しでも早く何とかしなければなりません。保護者と話し合い、児童相談所にも相談し、最終的にはその児童をその家庭から離すことになりました。まだ低学年の児童で、心も体も傷ついたその児童をもっと早く救うことができなかったものかと悔し涙を流した覚えがあります。
 草野さんには、そのとき親身になって相談にのっていただきました。そのことをきっかけにCAPのワークショップを児童に実施することになりました。虐待を受けている児童は、どんなにひどいことをされても保護者をかばいます。たたかれるのは自分が悪い子だからと・・・。

 実は私自身も子どもの頃苦い経験があります。小学校の中学年の頃だったでしょうか。友だちと外で遊んでいて露出魔に出会ったのです。私は逃げ帰りましたが、母にその話をすると「ぼやぼやしていたあんたが悪い。」と言われた覚えがあります。今でもそのときのことは嫌な思い出として忘れられません。
 CAPのワークショップでは、『どんなことがあっても悪いことをするおとなが悪い』と教えてくれます。自分がぼやぼやしていたからじゃない。自分が暗い道を歩いていたから悪いんじゃない。子どもにも、誰にも侵されることのない「安心」「自信」「自由」があるということを教えてくれます。

 今でこそ人権教育が叫ばれ、学校では年間を通して子どもたちに人権教育を実施していくことになっています。しかし子どもたちは自分たちには、いじめや暴力に会わないで安心して生きる権利があることをどれだけ知っているでしょうか。

 今年本校で行ったワークショップの後のアンケートでは、そのことを「知らなかった」「わからない」という児童がまだ何人もいました。私たちおとなは子どものもつ権利や義務について、きちんと教えていかなければならないのです。
 CAPのワークショップを導入したのは、子どもたちに自分たちには周りのおとなや友だちにも侵されてはならない大切な権利があるということを知って欲しいという強い思いがあったからです。しかしワークショップを初めて実施したときに、私の中には複雑な気持ちもありました。それはワークショップの最後にCAPのメンバーによる相談コーナーが設けられているということでした。「学校に初めて来た全然知らないおばさんたちに(ごめんなさい)子どもたちが相談に行くはずがない」私はそう思っていました。ところがどうでしょう。ワークショップの後、何人もの子どもたちが相談にいくではありませんか。学校での相談窓口であると自負していた私は少しショックでした。でもそれでわかったのです。毎日接している私たち教師には言いたくない話もあるのだと・・・。また、外から来た人だからこそ話せるし、明日はいないから話せるんだと・・・。そういう意味でもCAPのワークショップを行うことは大切だと感じています。
 CAPのワークショップは子どもだけでなく、保護者にも是非受けてもらいたいと思っています。本校では、隔年で保護者対象のワークショップを実施しています。保護者の方にとっては、それぞれに自分自身の言葉かけや行動を振り返るよい機会になっているようです。問題は費用です。本校ではPTAが、子どもたちの安全を守るためにと費用を負担してくださっていますが、学校によって様々です。戸塚区では、毎年数校を対象としたワークショップ開催を実施しています。これからもワークショップを行っていくために、是非、区や市からのさらなる援助を期待します。

 CAPのみなさん、これからも少しでも多くの子どもたちに、「安心」「自信」「自由」や、自分の身を守る方法、そして『何かあったときにはあきらめずに周りのおとなに相談する』ということを伝えていってください。
 
      2008年12月1日発行「 CAPかながわつうしん VOL7」に掲載
BACK







手紙6
横浜市大鳥中学校コミュニティハウス館長
                             大久保かずこ

「CAPの根っこにあるもの」
 私は1996年にCAPに出会い、CAPかながわの立ち上げに関わり7年間の活動を行ってきました。たくさんのメンバーがCAPの活動に関わってくれたのを機に活動から離れました。しかし、CAPで培った精神は崩れることはないと思っています。

 簡単にみえる3つのキーワード「安心、自信、自由」を子どもが獲得するためには、実際にはおとなの関わりの毎日の積み重ねが必要です。
 安心、自信、自由を育てるための関わり方は「エンパワメント」ですが、この子どもの心に届く勇気づけの声掛けをしていって、「あなたはあなたの個性を大切にしていいんだよ」というメッセージを発信していくことは、できているようで実際は親も教師もとても難しいことだと思います。 思い通りにいかない子に腹を立て、子どもの欠点を批判し、つい子どもとの闘争になってしまうこと(実際私もそうでした)がほとんどなのではないでしょうか?子どもが安心な関係の中で、自分にOKが出せるようになることこれは簡単なようで、おとなの力量が問われるとても大変な作業です。

 子ども自身はここがしっかり培われるからこそ、自分に向かう暴力に対してNOがいえるのです。

 子どもたちのワークショップで子どもたちが「安心・自信・自由」を心に刻むことも大切ですが、おとながまず本来のCAPの一番大切なメッセージを理解し実践しなければ、良い方向に変わることはむずかしいです。
まず、一人でもたくさんのおとなが一番大切なCAPのメッセージを感じて受け止めてほしいと切に願っています。
         2009年11月25日発行「 CAPかながわつうしん VOL.9」に掲載
BACK







手紙7
関東学院野庭幼稚園 主事             小千恵
 1989年にフィンランドから息子2人と生活の場を日本に移しました。一人親家庭ということで「あらあら…」「かわいそうに」という周りの反応にびっくり。もちろん励ましを含んではいるものの、私の生き方や息子の存在が否定されている気がしました。現実の困難や辛さは確かに増えましたが、受け止め方の問題であり、フィンランドでは苦難=悪という考えはないため居心地が悪かったのを思い出します。それは、「子どもに申し訳ない」とか「こんなはずではなかった」と思うことは、結果として今のあり方を完全否定していることになり、セルフエスティームが低くなるという考えに基づいているからです。
 1995年頃より、外国籍児(在日・滞日・自力入国)との共生に取り組む保育園に携わり、人権教育は反差別教育への近道と学ぶ中で、CAPのワークショップと出会いました。ちょうど「エンパワメント」の考えに大きく共感し始めたころでした。そして、今の幼稚園でも2005年から教員・保護者・年長児が定期的にワークショップを受けています。
 5月のある日、1年生の卒園児保護者と道で立ち話をしたときのことです。「クラスの子に、ちょっと意地悪されてから朝学校へ行くことが大変になってしまいました。送っていくんです」「それでも家では、CAPで教わった安心・自信・自由の権利があるやん。先生に話してみようかな?とは言っているんですよ。私も2回ワークショップを受けたので、話をわかってあげられるので助かってます。CAPからもらったお手紙を時々見るんです」と。幼い子どもの心にしっかりと安心・自信・自由の種が根付いていたことが嬉しかったです。
 子どもが安心した人間関係の中で、自信をもって、自由に生きていく為にはおとな同士もお互いの人権を尊重しあっていくことが大切となりましょう。繰り返しワークショップに参加して、感性に栄養を注ぎたいと願っています。
 静かに、そして確かに心と体のすみずみに広がっていくCAPのワークショップで、皆様と繋がっていられることを感謝致します。

         2010年4月20日発行「 CAPかながわつうしん VOL.10」に掲載
BACK







手紙8
神奈川県三浦市教育委員会学校教育課 
                        指導主事 八巻貞司

 三浦市は、平成20年度から平成22年度までの3年間、文部科学省の人権開発事業「人権教育総合推進地域事業」の指定を受け、小学校8校、中学校4校のすべての学校での人権教育の推進に力を注いでいます。その取組の中で、中核となったのがCAP(子どもへの暴力防止)プログラムでした。

三浦市の教育員目標の一つは、「心身ともに健康で、調和のとれた人間性・豊かな児童・生徒を育てる」です。その目標の実現のために、人権教育総合推進地域事業の主題を「調和のとれた人間性豊かな子どもを育む学校〜子どもの安全確保の視点から見た人権教育への取組〜」と設定しました。そして、その実現のためには、子どもを守る体制作りと、子どもが自ら自分を守る力を高める安全教育の推進、及び、生きていく上で基盤となる人権感覚を磨くことを通し、自他の命を大切にする子どもを育成することが必要であると考えました。

 これはまさにCAP(子どもへの暴力防止)プログラムの趣旨、「子どもたちが自分自身の権利について理解し、その権利を奪おうとする虐待やいじめなど、あらゆる暴カに対し、心とからだと知恵を使って守る」ことと一致し、本プログラムは、その実現のための具体的で実践的なものであると言えました。
 平成20年度に小学校3校、中学校1校の計10クラスで実施された子どもワークショップの内容、成果が三浦市人権教育総合推進会議の中で紹介され、平成21年度には小学校7校、中学校2校、計23クラスで実施、そして、今年度も小学校7校、中学校2校、計20クラスで実施されているところです。

 今年度は小学校1年生から中学校2年生まで、幅広い年齢層の子どもワークショップをお願いしました。その年齢の子どもたちに対応した様々な配慮がなされたワークショップのおかげで、子どもたちが「安心・白信・自由」を心に刻むことができたと思います。
 また、併せて実施した教職員・保護者向けの大人ワークショップにより、学校の先生方が、人権教育とは、特別の時間、授業、内容を準備して構えて行うものではなく、目常の学校生活の中で、子どもたちの「安心・自信・自由」を保障することが大切なのだということに、改めて気付かせてくれる機会となりました。

 最後になりますが、3年にわたり実施していただいたCAPかながわの皆様には、心からお礼を申し上げます。ありがとうございました。これからも三浦市は人権教育を推進していきますので、今後もよろしくお願いします。
        2010年12月1日発行「 CAPかながわつうしん VOL.11」に掲載
BACK